お相撲さんのレコード



スーパー・ジェシー/高見山大五郎 [演奏]リッキー&1960ポンド
EP 東芝EMI ETP-10332(1977)

 現在の相撲がつまらないのは、力士の個性を垣間見る機会に乏しいからではないだろうか。私が小学生の頃、高見山はテレビCMで「ニバイ、ニバイ(丸八真綿)」とか「永谷園のミルクセーキ」で、強烈に存在感を示していた。
 このレコードでは、当時流行したソウルっぽい演奏とコーラスに乗せて、高見山がカタコト日本語で相撲用語をシャウトしまくっている実にファンキーでご機嫌なディスコナンバーである。
 ジェシー高見山は叫ぶ。うぅぅぅぅシコ〜(スモ〜ウマ〜ン)うぅぅぅぅぅマタワリ〜(スモ〜ウマ〜ン。ここで、スモ〜ウマ〜ンの部分は女性コーラス(コードはEm)である。強いダミ声はメロディに乗っからず、言葉としては度々不明瞭だが、愛敬が感じられる。
 豪快さと愛敬が同時に味わえる名作である。
 個人的には武蔵丸(現本名:武蔵丸光洋、帰化前の本名:フィヤマル=ペニタニ)に、「スーパー・マル」というタイトルでこのナンバーをカヴァーしてもらいたいと思っている。



スーパー・ジェシー・パート1/スーパージェシー

EPワーナー・パイオニア L-172W (1977)

 上の『スーパー・ジェシー』は大収穫だった。部屋でクルマでガンガンに鳴らして、ジェシーと一緒に叫んで喉を痛くしていた。
 そんな状況だったから、この『スーパー・ジェシー・パート1』を発見した時も小躍りした。B面は『スーパー・ジェシー・パート2』ときたもんだ。好評だった『スーパー・ジェシー』のアンサーソングだろうか、相当期待できるぜ、とはやる心丸出しで買って帰って急いでターンテーブルに乗せたが、流れてくるナンバーはどーうも様子がおかしい。声は確かにダミ声なのだが、ジェシー特有の陽気な勢いが全くないのだ。なんだか喉を絞めつけられているようでとても苦しそうで、途中で死んでしまわないかと心配してしまう歌声なのだ。それに日本語が流暢すぎる、ちゃんとメロディになっているなど、どう聴いても本人じゃないと思って、ジャケットを観察した。
 ジャケットの人物は紛れもなく溢れんばかりの高見山であるが、それを示す名前はどこにも書いてない。右下にごく小さく「SUNG by SUPER JESSIE」と書いてあり、裏面にも「スーパー・ジェシー〈唄〉」とあるが、決して「高見山大五郎」とはなっていない。それどころか小さい字で「AKIO MATSUI」と書いてあるではないか。.......ニセモノだ!!ガク。全身の力が抜けた。こんな手口で人を騙すことはないだろう。これは子供の教育上よくない。日本中で一体何人が騙されてこれを買ったのだろう?しかしこの盤は見本盤だった。市販されたのだろうか。持っている方連絡下さい。


『スーパー・ジェシー・パート1』に関する私なりの考察

 この『スーパー・ジェシー・パート1』の歌詞中に、「トランザ〜ム、スリー・イン・ワン」というフレーズがある。
 雑誌「大相撲」(読売新聞社)98年12月号中の記事「お相撲さんがCMに帰ってきた ! 」によれば、高見山はアル・カポネ風のスーツを着て、小型テレビを片手に軽快なステップでタップダンスを踊っていたという(右写真)。しかし手にぶら提げているのはテレビでなくショートケーキの箱に見える。そのCMはショーマンシップたっぷりの演技だったそうだ。時期は1977年。商品名トランザム。しかし、かかっていた音楽に関する記述はなかった。しかし、このレコードジャケットの写真は、その記述を裏付ける恰好をしている。ということは、この『スーパー・ジェシー・パート1』は「トランザム」のCMソングとして作られたと考えていいだろう。
 「トランザム」のキャッチフレーズコピーが決まり、イメージキャラクターも高見山に決まり、CMソング『スーパー・ジェシー・パート1』ができあがり、さあレコーディングだという所で、歌詞の日本語が高見山にとっては難しかったのだろう。「チョット待ッテクダサ〜イ」を連発し、歌えなかったと考えるのである。メロディラインにかなり振幅があり、リズムも速めなので、日本語をしっかり操れないと歌いきれないと思う。そこで、急遽高見山の代わりに「AKIO MATSUI」なる日本人が起用され、無理矢理ダミ声で歌わされたのではないだろうか。....と考えないと納得できないのである。


いかものレコード

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