...トホホレコード

およそ人が作った物をジャンル分けするのは困難なことだが、これから紹介する物どもは情けない部類になるだろう。持ってる私も情けない。


サイキック・マジック

サイキック・マジック/ドゥ・プレクス CBSソニー 07SH1663 (1985)

 洋楽がちょっとしたブームで売れると、すぐに日本語カバーヴァージョンが出てくる。G.I.オレンジの『サイキック・マジック』は'85年にローティーンの間で人気を呼び、当時中学生だった私の周囲もそのブームに巻き込まれていた。それにしてもその日本語版があったとは、この盤を手にするまで知らなかった。スズキアルトのイメージソングだそうだ。全然知らん。ドゥ・プレクスと名乗る彼らは、情報が少なく詳細不明である。このジャケットだと顔色悪いかな。イメージ的にはティアーズ・フォー・フィアーズの独自な解釈といったところかな。
 というわけで、針を降ろして聴いてみた。演奏はG.I.オレンジのものと寸分違わぬもので、歌い方も極めて真面目ふうなのだが、展開する日本語詞(訳詞というか、独自の作詞:三垣ケンジ)はとんでもないものだった。

サ〜イキ〜ック・マ〜ジック 世にも不思議な逆さま現象
サ〜イキ〜ック・マ〜ジック これは悲劇喜劇ラブストーリー

 なんとひどい詞だろう。オリジナルの詞を無視して、男と女が入れ替わった内容の詞になっているのだ。これじゃあんまりだ。G.I.オレンジのジャケット写真の面々もかなり頭悪そうに見えるが、なんだかかわいそうに思えてきた。もうG.I.オレンジをないがしろにするのはよそう。


サイキック・マジック/G.I.オレンジ CBSソニー 07-SP-893

 この曲は私が中学生のころ爆発的に売れました。
 コーラス部分が「サーーイキーック、マーアジーック」と、英語の歌にしては珍しく、えらく間延びした歌い方が特徴的。
 運動会のクラス対抗ダンスで、この曲に振り付けをして踊ったことのある者がいるそうである。やい。
 今、この人達よりも年上の立場としてジャケットを見ると、おまえらバカづらして笑ってないで勉強しろとでもいいたいところだ。
 ところで、彼らはこの後どうしたのだろう。


うのせけんいち

ポテトチップス/うのせけんいち ワークレコード W10E1 (1988)

 うのせけんいちは漫画家である。下品だがなかなか勢いのあるマンガを描くので、仲間内では日本随一のバカマンガ家と評価が高かった。だからこの盤を見つけた時も、さぞかしぶっ飛んだ痛快なナンバーを期待した。
 ところが実際に聴いてみると、これは、なかったことにしたい位の情けなさだった。到底人に聞かせられるものではない。演奏はリズムがばらばらで全員へたくそ。肝心の唄は、腹に力が入っていないようなヨタ声で、抑揚のないメロディをコースアウトする。歌詞も小学生レベルだ。

 このうのせけんいちもまた、現在なにをしているのかが不明な、気になる人である。


ポリス


ドゥドゥドゥ・デ・ダダダ(日本語版)/ポリス アルファ AMP-713 (1980)

 これはワールドツアーでの来日公演を記念して発売された。ヒット曲「DE DO DO DO, DE DA DA DA」をわざわざ日本語で歌っている。日本語作詞は音楽評論家の湯川れい子である。長い間CD化されることのない忘れかけられていた盤だったが、最近ポリスとスティングの合同ベスト盤にボーナストラックでこの曲が収録された。初のCD化であるが、聴いた方どう思われただろう。私はポリスのファンであるが、これはスティング唯一の汚点であると思っている。やっていいことと悪いことがある。ポリスのカッコいいビートに日本語がなんと不釣り合いなことか!スティングのたどたどしく頼りない日本語が間延びしているし、歌詞もそりゃぁないぜという内容だ。「信じてオクレ」じゃないよ。
 88年、ラジオ番組の企画で、大槻ケンジが、来日したスティングに「大槻、スティングと堂々と渡り合う」と言いながらインタビューをしていたが、大槻は「いやぁボクもスティングさんの『ドゥードゥードゥー、デダアダアダ、はオレのコトバさ』を聴いて育ちました」と言ったらスティングは苦笑いしていたのを覚えている。


ロマンと暴力の香り!


デビル・ウーマン/山本 翔 EPIC/SONY 06・5H-6 (1978)

 このレコードは、ジャケット写真のもつ独特のエネルギーにあてられて、つい反射的に買ってしまったものである。
 鋭い目の男が歯をむき出して、ファイティングポーズをとるという殺気立ったシチュエイション。しかし拳の血はマジックインキのようである。謎だ。
 惜しくも顔を半分カットされてしまった金髪の女性が、デビル・ウーマンだというのだろうか。
 タイトルの横に「都会ジャングルを突き抜けるロマンと暴力の香り」とある。上端には小さい字だが「80年代へ爆走する翔のロックン・ロール衝撃の第2弾 !!」とあり、半端でないバイオレンスなロケンロールナンバーが期待された。

 それなりにひずんだギター音で始まるが、ミックスが貧弱な70年代サウンド。と思ったら、これは80年へ爆走するロックということであったか。そりゃないぜ。歌い方もジャケット写真ほどの力はなく、別人かと思えるほど頼りなくヨロヨロしている。これなら勝てそうである。
 サビに入るところの歌唱は唯一自己主張している。「うーあ、ふぁふぁふぁふぁふぁふぁふぁ、She's Devil Woman 〜」 となっているところが、魅力といえばそうといえるかもしれない。
 でも明らかに、ジャケット負けしているのだ。写真しかりコピーしかり。わざわざ「シングル用特別テイク」と謳う必要はあったのだろうか。「ロック新世紀を告げる、80年代のスーパーロック・ボーカリスト・山本翔」というコピーまであるのだが、その根拠は??
 懲りないことに、「飼い馴らされてたまるかただの野良犬でも牙だけは磨いてあるぜ」とまで書いてあり、どうも文字ばかりが威勢のいいレコードであった。


いかものレコード

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